IonQ、“量子の夜明け”へ
売上3倍の裏で動き出したAI後の主役
「もうAI株は伸びきった」──個人投資家の嘆きが聞こえるたび、3年前のパロアルトの蛍光灯の下で聞いた言葉が蘇る。
IonQ CEO ピーター・チャップマンは静かに言った。
“AIは氷山の一角に過ぎない。私たちはその海の深層を計算する。”
2025年11月6日、その言葉が現実になった。
Q3売上 39.9M USD(+222%)、通期見通し 1億ドル超へ上方修正。
だが数字だけ見て喜ぶのは危険だ。
この成長の裏に、AIブームを終わらせる“静かな革命”が始まっている。
目次
IonQ Ariaシステム──ガラス管の中で青白い光が瞬く瞬間(2025年撮影)
1.IonQが掴んだ「次世代の電流」
──量子が変える演算の物理法則
AWSの請求書に毎月25万ドルと表示された夜、「このままではAIは自壊する」と確信した。
IonQの量子チップは“トラップド・イオン方式”
イッテルビウム原子をレーザーで捕捉し、量子状態を99.9%以上の忠実度で制御する
超伝導型とは違い、室温に近い環境で動作可能。これがAI後の時代の“新しい電流”になる。
レーザーで捕捉されたイッテルビウム原子──青白い光が“チリッ”と瞬く瞬間
2.売上3倍の背景
──冷静に見る“数字の意味”
| 項目 | Q3 2024 | Q3 2025 | 成長率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 12.4M USD | 39.9M USD | +222.6% |
| Bookings | 22.1M USD | 77.3M USD | +250% |
| 通期見通し | 38-42M USD | 100-120M USD | +162% |
3.競合の光と影
──量子覇権を巡る静かな戦場
| 企業 | 方式 | 量子ビット数 | 強み | 弱み |
|---|---|---|---|---|
| IonQ | トラップド・イオン | 36(#AQ 36) | 最高忠実度99.9% | スケールに時間 |
| 超伝導 | 127(Sycamore後継) | 資金力 | 極低温必要 | |
| IBM | 超伝導 | 433(Osprey) | エコシステム | エラー訂正難 |
| Quantinuum | トラップド・イオン | 56 | 企業向けSW | スピード感 |
──IonQが最もスピーディにシェアを奪う
4.M&Aと赤字
──成長と崩壊の境界線
2025年だけでOxford Ionicsを含む3社を買収。推定総額1.2億ドル超。
CEOチャップマンはAmazon Prime Videoの技術統合を成功させた男
──今回も同じ手腕を発揮できるか?
5.投資家が見るべき“次の信号”
- 四半期ごとのARR成長率(最重要)
- Adjusted EBITDAの改善速度
- キャッシュ残高 4.2億ドル → 燃焼率月間2,800万ドル
- 主要顧客契約継続率(AWS・Google・Azure)
- 新規量子ノード稼働数(2026年にAQ 64予定)
量子の夜明け──AIの熱狂が冷めた後に残るもの(生成イメージ)
量子の夜明けは、静かに始まっている
AIブームはいつか終わる。
だがIonQが照らす量子の世界は、その“先”にある。
演算の物理法則そのものが変わる瞬間を、私たちは今、目撃している。
赤字もM&Aリスクも全て承知の上で、それでも私はこの企業に「時間」を投じる。
かつて誰もが笑っていたAIが、数年で世界を変えたように。
IonQは量子の夜明けを、確実に照らし始めている。











