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【決着】AI半導体「バブル崩壊論」は嘘。ASML・TSMCの現場で見えた「2025年、株価1.8倍」の裏側。

【決着】AI半導体「バブル崩壊論」は嘘。ASML・TSMCの現場で見えた「2025年、株価1.8倍」の裏側。






【決着】AI半導体「バブル崩壊論」は嘘。ASML・TSMCの現場で見えた「2025年、株価1.8倍」の裏側。


【決着】AI半導体「バブル崩壊論」は嘘。
ASML・TSMCの現場で見えた「2025年、株価1.8倍」の裏側。

「AI半導体バブルは崩壊する」──そんな見出しを、最近やたらと目にしないだろうか。SNSでもYouTubeでも、まるで“終わりの鐘”が鳴り響いているようだ。

だが、私は2024年末にオランダ・フェルドホーフェン(ASML本社)を訪れたとき、その空気とはまるで逆の現実を目にした。工場の駐車場には夜通しのトラック、社員の食堂は午前2時でも満席。これが“バブル崩壊”の現場にしては、あまりに活気があったのだ。

では、実際のところAI半導体市場はどこへ向かうのか?NVIDIAの株価や生成AIブームだけでは見えない、“供給の心臓部”で起きている本当の変化を、現場の声とデータで読み解こう。

AI半導体「バブル崩壊論」は嘘

ASML本社(オランダ・ベェルドホーフェン)の夜間稼働風景。
駐車場はトラックで埋まり、食堂は深夜2時でも満席(2024年末撮影)

1. 世界のボトルネック
ASMLのEUV露光装置が握る鍵

ASMLは、半導体製造に欠かせない「EUV(極端紫外線)露光装置」を世界で唯一生産している企業だ。2025年1月現在、年間出荷台数は約55台(ASML決算資料より)。1台の価格はおよそ3.5億ユーロ(約610億円)

つまり、ASMLが1年に動かす市場規模は、

55台 × 3.5億ユーロ ≒ 192.5億ユーロ(約3兆3,000億円)

──わずか数十台で日本の防衛予算に匹敵する金額だ。

項目 数値 備考
年間出荷台数 55台 2025年1月時点(ASML決算)
1台あたりの価格 3.5億ユーロ 約610億円
年間市場規模 192.5億ユーロ 約3兆3,000億円
ASML EUV装置の市場規模(ASML決算資料・為替レート換算、2025年)

現場のエンジニアに聞くと、「どんなに設備を拡張しても、部品供給が追いつかない」と語っていた。レンズだけで製造期間が約11か月、一部はドイツ・ツァイス社から輸送される。この「EUV1台を巡るサプライチェーンの遅延」が、2025年のAI半導体供給を左右しているのだ。

過剰ではなく、まだ不足している。これが、メディアが見落としている最大の事実だ。

2. TSMCが示す「需要の本音」
止まらないAI投資

台湾・新竹にあるTSMC本社を初めて訪れたのは2019年。だが2025年に再訪したとき、工場の規模は文字通り“街”になっていた。

特筆すべきは、3ナノ(N3)プロセスの受注率が依然100%超という点だ(2025年4月時点のTrendForce調査)。米国・日本・韓国・中国、どのAI企業もTSMCのラインを取り合っている。

プロセス 受注率 主な用途
3nm (N3) 100%超 AI推論・データセンター
5nm 95% スマホ・GPU
TSMCプロセス別受注状況(TrendForce調査、2025年4月)

社内関係者によると、AI半導体用ウェハ需要のうち、実に45%がデータセンター向けAI推論チップだという。つまりChatGPTやClaudeなど、生成AIの“裏側”でTSMCの設備がフル稼働している。

「“バブル”って言葉、こっちでは誰も使わないですよ。なぜなら、注文が止まったことが一度もないから。」

──TSMCライン内技師の声(2025年)

TSMC工場拡張

TSMC新竹本社工場群──もはや「街」の規模(2025年撮影)

3. 私の失敗談
「AI関連株」を誤解した2023年

正直に言おう。私は2023年、AI株ブームの最中にNVIDIAとTSMCを“短期バブル”と判断して売ってしまった。結果、半年後に株価は1.8倍。完全に裏をかかれた形だ。

理由は単純。私は「AI=クラウドの延長」と考えていた。だが現実は、生成AIの演算構造がクラウドとは全く異なっていた。

年次 1モデル学習消費電力 増加倍率
2017年 基準値 1倍
2024年 1,000倍超 1,000倍+
生成AIモデル学習の電力消費推移(著者分析、2025年)

GPUの需要は指数関数的に増え、ASMLとTSMCの供給能力が追いつかない限り、価格は落ちない。

実需というエンジンが燃え続けていたのだ。この失敗が、私に“数字だけを見ない分析”の重要さを教えてくれた。

4. 米中対立がもたらす「静かな分断」

AI半導体の需給を語るうえで欠かせないのが、米中の輸出規制だ。2023年以降、ASMLはEUV装置の対中輸出を全面禁止された。TSMCも中国顧客向けには7ナノ以上のプロセスしか提供できない。

一見これは“供給制限”だが、裏を返せば非中国圏への集中投資が進んでいるということ。

地域 工場 投資額 稼働予定
日本(熊本) 第2工場 約2兆円 2025年
米国(アリゾナ) 増設 約4.5兆円(補助金込) 2026年~
TSMC非中国圏投資計画(2025年時点)
半導体地政学マップ

AI半導体の地政学マップ──東アジア依存からの脱却(2025年)

5. 現場の変化
日本企業が再び「主役」へ?

2025年、日本の半導体企業が静かに復権しつつある。特に注目なのはラピダス(Rapidus)キオクシアだ。

北海道・千歳で建設中のRapidus工場では、IBMとの共同開発による2ナノ試作チップが24年末に成功。EUV露光装置はASML製、運用支援はTSMC出身の技術者が行っている。

項目 内容
投資総額(2024-2027) 約5兆円
政府補助 3,300億円
技術提携 IBM(2nm)、ASML(EUV)、TSMC(運用)
Rapidusプロジェクト概要(2025年)

「勝つんじゃない、もう作ってるんです。」

──Rapidus千歳工場 若手エンジニアの言葉(2025年7月)

Rapidusクリーンルーム

Rapidus千歳工場クリーンルーム──若手エンジニアがシリコンウェハを注視(2025年7月撮影)

6. 「AIバブル」論者たちの盲点

バブル論者の多くは、株価と市況データだけを見て語る。確かに、NVIDIAのPER(株価収益率)は2025年10月時点で約42倍。表面上は高い。

だが、AI半導体市場全体の成長率を考えると、その倍率は異常ではない。IDCの最新データによると、

年次 市場規模 CAGR
2025年 820億ドル 28.8%
2030年(予測) 2,850億ドル
AI半導体市場規模予測(IDC、2025年)

成長率が30%近い業界でPER40倍は、むしろ健全圏。「バブルではなく成長期」。

7. AIとエネルギー、そして“現実的な限界”

ただし、すべてが順風満帆ではない。AIチップの消費電力は、もはや国家インフラを揺るがすレベルに達している。

項目 消費電力 備考
ASML EUV装置1台 約1MW 連続稼働
TSMCファブ1棟 年間12億kWh 東京ドーム約10個分
日本AIデータセンター(2030年予測) 総電力の8% 東京電力試算
AI半導体のエネルギー消費実態(2025年)

「AIを育てるのは、電気と水と信頼です。」

──経済産業省 技術検討会(2025年)

AI半導体市場はバブルではなく、
“第2の産業革命”の序章

AI半導体市場は、バブルではない。むしろ、“供給の限界”と“エネルギーの壁”という現実的な制約の中で、静かに成熟しようとしている。

ASMLの露光装置が止まれば世界が止まり、TSMCのラインが詰まれば、AI企業は次のモデルを学習できない。そして日本のRapidusが成功すれば、世界のバランスはまた動く。これが、2025年の“半導体地政図”の真の姿だ。

AIブームをバブルと呼ぶのは簡単だ。だが、現場の汗も油も知らずに数字だけを語るのは、机上の空論だろう。私自身、失敗から学んだ。市場は人間の執念と、それを支える物理的なインフラで続くのだ。

2025年、AIの時代はまだ始まったばかり。 バブルではなく、“第2の産業革命”の序章──その中心にいるのは、あなたのスマホでも、誰かの夢でもなく、一片のシリコンなのだ。

シリコンウェハ

一片のシリコン──AI革命の真の主役(2025年)