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水素は失敗じゃない。日本だけが“30年後”を見ている理由

水素は失敗じゃない。日本だけが“30年後”を見ている理由






水素は失敗じゃない。日本だけが“30年後”を見ている理由


水素は失敗じゃない。
日本だけが“30年後”を見ている理由

「水素って、結局失敗だったんでしょ?」

そう言われるたび、胸の奥がざらりとする。
EVが主流になり、効率だ、コストだと数字だけが一人歩きする時代。
ニュースを眺めながら、あなたもこう思ったことはないだろうか。

――日本はまた周回遅れなんじゃないか*、と。

私もかつて、似たような焦りを抱えた一人です。
2014年、神奈川県川崎市の臨海部。
水素関連設備の視察現場で、耳元を「ゴォ…」と低い音が通り過ぎた。
当時の私は、正直に言えば半信半疑だった。
「こんな回りくどい技術、世界で通用するのか?」と。

それでも現場の空気は、不思議と静かで、粘り強かった。
派手さはない。だが、誰も目を逸らしていない。
なぜ日本だけが、水素を手放さないのか。
その答えは、効率でも流行でもなく

時間の捉え方にあった。

水素は失敗じゃない

トヨタ Mirai 水素充填の現場──日本が先駆ける水素社会の実像(Toyota FCV)

1. 不安と水素エンジン|「効率が悪い」は本当か

「水素エンジンはエネルギー効率が悪い」
これは事実です。否定しません。

一般的な評価はこうでしょう。
電気 → 水素製造 → 圧縮 → 輸送 → 発電。
工程が多く、ロスが積み重なる。
例えば、再エネ電力100を使った場合、
最終的に使えるエネルギーはおよそ**25〜30**程度。

この数字はどう出したか。
経産省資料(2022年版)から各工程の効率を取得。
発電(90%)× 電気分解(70%)× 圧縮輸送(80%)× 燃料電池(60%)。
計算式は
0.9 × 0.7 × 0.8 × 0.6 ≒ **0.30**。
結果、約30%。

たしかに効率だけ見れば、EVに軍配が上がる。
では、ここで一つ問いを投げたい。

効率がすべてなら、なぜ人類は宇宙に出たのか?

■ 水素 vs EV エネルギー効率比較(参考値)

項目 水素経路(全体) EV(バッテリー直結) 備考
総合効率 約25〜30% 約80〜90% 製造〜利用ロス含む
主なロス 製造・圧縮・輸送 充電ロス小 水素は工程多
長距離/重荷適性 優位 劣位 用途による

効率はEV優位だが、水素は「電化できない領域」で価値を発揮

水素は失敗じゃない

再生可能エネルギーによる水電解──グリーン水素製造の未来像

2. 違和感と宇宙|水素が「宇宙で一番多い」意味

宇宙で最も多い元素は、水素。
これは中学生レベルの話ですが、意外と軽視されがちです。

恒星は水素を燃やして輝く。
つまり、宇宙そのものが「水素経済」で動いている。
ふと、こう思いませんか。
*なぜ人類は、この物質を地上で使いこなせていないのか*。

2018年、JAXA関係者との非公式な勉強会で聞いた言葉が忘れられません。
「水素は、文明スケールのエネルギーなんですよ」
短期効率では測れない。
保管でき、運べ、燃やしてもCO₂を出さない。
**時間と空間を超えて使える**、という意味で。

水素は失敗じゃない

トヨタ Mirai の燃料電池システム──水素が作り出すクリーン電力の仕組み

3. 焦りと日本企業|なぜ撤退しなかったのか

トヨタ、川崎重工、IHI、ENEOS。
名前を聞くだけで「古い」と言われがちな企業たちです。

実のところ、私自身も失敗しました。
2016年、水素関連スタートアップへの業務提携を進めた際、
「市場が小さすぎる」と判断し、途中で手を引いた。
2年後、その企業は欧州の大型プロジェクトに参画した。
完全に、読み違えたのです。

日本企業が見ていたのは、**市場規模ではなく耐用年数**でした。
30年、50年使うインフラ。
発電所、港湾、パイプライン。
短期ROIでは測れない世界。

欧米がEVに集中する中、
日本は「電化できない領域」を黙って拾っていた。
製鉄、化学、長距離輸送、非常用電源。
地味で、儲からず、でも消えない需要。

水素は失敗じゃない

川崎重工の液化水素貯蔵タンク──長期インフラの象徴

4. 反論と再説明|「遅れている」のではない

「日本は遅れている」
この言葉、何度聞いただろう。

だが、時計をどこに合わせているかで、評価は変わる。
5年後を見る国。
10年後を見る企業。
30年後を見る文明。

日本は後者だった、ただそれだけです。
江戸の治水、明治の鉄道、戦後の新幹線。
すべて「当時は非効率」と言われた。

水素も同じでしょう。
今は笑われる。
だが、災害時・資源制約・宇宙展開。
必要になる局面は、確実に来る。

水素は、万能ではありません。即効性もない。

株価も跳ねないでしょう。

それでも、日本が水素を捨てなかった理由は明快です。

生き残るためです。

効率だけを追えば、世界は一つの解に収束する。
だが文明は、冗長性を失った瞬間に崩れる。
多様な選択肢を残すこと。
それ自体が、国家戦略だった。

私はもう、水素を「失敗」とは呼ばない。
それは、未来への保険だ。
子ども世代に渡す、時間のバトンです。

もし今、あなたが
「日本は遅れているのでは?」と感じているなら、
一度、問いを反転させてほしい。

――日本は、行き急いでいないだけではないか?

答えが出るのは、30年後。
だが、その時に生き残っている国は、
きっと今日の判断を後悔しないでしょう。

水素は失敗じゃない

グリーン水素のエコシステム──日本が描く30年後のエネルギー地図