Radioheadは“早すぎた”のか?
──20年後に世界が追いついたバンドの正体
正直に言います。
20代の頃、私はRadioheadが苦手でした。
暗い。重い。何を言っているのか分からない。
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違和感と再生ボタン
正直に言います。
20代の頃、私はRadioheadが苦手でした。
暗い。重い。何を言っているのか分からない。
深夜の渋谷、仕事終わりのスタジオで流れてきた「Paranoid Android」に、ゾワッとした違和感だけが残ったのを覚えています。
「これ、誰向けの音楽なんだ?」
当時の私は、広告代理店で“分かりやすさ”を売る側の人間でした。
だからこそ、Radioheadは理解不能だったのです。
けれど40代になり、世界が分断され、AIが言葉を奪い、
人が人である意味すら揺らぎ始めた今──
ふと再生した彼らの曲が、カチリとハマった。
Radioheadは変わっていない。
変わったのは、世界のほうだったのです。
Radioheadとは?──メンバー完全プロファイル

1990年代から世界のロックシーンを牽引し続ける英国出身の5人組、Radiohead(レディオヘッド)は、1985年にオックスフォードシャーで結成されました。
トム・ヨーク(Thom Yorke) — ボーカル/ギター/キーボード
バンドの精神的中心。幼少期からクラシック音楽に親しみ、テクノやアンビエントに影響を受けた独自のボーカルは多くのフォロワーを持つ。多くの楽曲で政治・社会的テーマを歌う核心人物です。

ジョニー・グリーンウッド(Jonny Greenwood) — ギター/キーボード/その他
実験的なサウンド設計の要。クラシックや電子音楽への造訣が深く、曲ごとに異なる楽器を操る。映画音楽や外部プロジェクトでも高い評価を得ています。
コリン・グリーンウッド(Colin Greenwood) — ベース
リズムと空気感を支える骨格。兄弟ユニットであるジョニーとの感性共有がバンドの厚みを担っています。
エド・オブライエン(Ed O’Brien) — ギター/バック・ボーカル
メロディアスなギターとハーモニーを担当。ソロ名義でも活動しながら、独自の音楽世界を深化させています。
フィリップ・セルウェイ(Philip Selway) — ドラム
静と動を制御するドラマー。テクニックと抑制のあるプレイで、バンドの多彩なリズム感を支え続けています。
(※ツアーではクリス・ヴァタラロがパーカッションとしてサポート参加も確認されています。)
1. 疎外と叫び「Creep」という呪い

「Creep」は呪いの曲です。
それも、聴く人ではなく作った側にかかった呪いでした。
僕は場違いな人間だ
ここにいる資格なんてない
この意訳が示すのは、恋愛ではありません。
自己否定そのものです。
事実として、「Creep」は1993年に全米チャートで大ヒット。
しかしRadiohead自身は、この曲を長くライブで封印します。
理由は単純で、「これだけで定義されたくなかった」から。
Radiohead – Creep
自己否定の叫びが世界を掴んだ歴史的ヒット曲。
2. 混乱と暴走「Paranoid Android」の断片構造

6分23秒。
展開は4回以上。
サビらしいサビは、ほぼ存在しません。
当時、私はこれを失敗作だと思っていました。
ラジオ向きじゃない。CMにも使えない。
マーケ的に“最悪”です。
しかしデータを整理してみると、見え方が変わります。
- 発売年:1997年
- 同年の世界的出来事:インターネット普及元年
- 歌詞テーマ:分断・暴力・匿名性・狂気
つまり彼らは、
SNS時代の精神構造を、20年前に音で描いた。
Radiohead – Paranoid Android
未来の不安を先取りした名曲。
3. 逃避と甘さ「High and Dry」が示した矛盾
「High and Dry」は、最も誤解された曲でしょう。
高く飛びすぎて
着地できなくなった
これは失恋ソングではありません。
成功に溺れた人間の末路です。
Radiohead – High and Dry
優しいメロディに隠された冷酷なメッセージ。
4. 終焉と祈り「Street Spirit (Fade Out)」
抵抗するな
すべては消えていく
この意訳は、絶望でしょうか。
私は違うと思っています。
「Street Spirit」は
戦い続けた人間だけが辿り着く静けさです。
Radiohead – Street Spirit (Fade Out)
諦観の中に宿る深い祈り。
2025年ライブ再臨──7年ぶりのヨーロッパ・ツアー

2025年11月から12月にかけて、Radioheadは7年ぶりとなるヨーロッパツアーを行い、20公演を予定しています。

公演はスペイン(マドリード)、イタリア(ボローニャ)、英国(ロンドン・O2アリーナ)、デンマーク(コペンハーゲン)、ドイツ(ベルリン)など主要都市で開催。
初日・マドリードの魔法(2025年11月4日〜5日)
Opening Nightから25曲以上のキャリア全域を網羅したセットリストが披露され、
「Let Down」「Idioteque」「Paranoid Android」「There There」「You and Whose Army?」など、ファン垂涎のナンバーが次々と登場しました。

追いついた世界で、もう一度聴く
Radioheadは難解なバンドではありません。
世界が単純だった時代に
複雑な真実を鳴らしただけです。
もし昔、「分からなかった」と感じたなら、それでいい。
あなたは正常だった。
でも今、胸の奥がザワッとするなら。
それは世界が、彼らに追いついた証拠です。
もう一度、再生してみませんか。
今度は、きっと逃げ場ではなく、
居場所として聴こえるはずです。














