「もし台湾がこうなったら?」
日本は核を持たずに本当に守れるのか
元自衛隊広報支援担当が現場と最新データで問う──核を持たない日本が取るべき現実的で強い道
夜の羽田空港で旅客機が轟音を立てて離陸していく。
そのエンジン音を聞きながら、ふと思った。
「台湾有事が起きたとき、日本は核を持たずにどこまで耐えられるのか?」
かつて宮古島・与那国島で島嶼防衛の現場を見てきた私にとって、これはもはや机上の空論ではない。
本稿では、核武装論を振りかざすのではなく、現実のウクライナの教訓と最新の防衛データ・現場経験を基に、日本が核を持たずに「本気で守り切る」ために何をすべきかを徹底検証する。
目次
与那国島東崎から見える台湾の山影──直線距離わずか110km
1. 台湾有事は日本有事──南西諸島最前線の現実
与那国島から台湾は目視できる距離。東京-静岡よりも近い。Hudson Institute、CSIS、米議会報告のほぼ全てが「台湾有事は日本有事」と結論づけている。日米は既に共同作戦計画を進めているが、最初の72時間が勝負だ。
敵が先制攻撃を躊躇しなくなる最悪のメッセージだ。
必要なのは明確な攻撃力であり、先制攻撃を思いとどまらせる「即応抑止力」である。
2. 「反撃力」という言葉が招く致命的な誤解
政府が「反撃能力」と呼ぶ長距離ミサイルは、実際には敵基地攻撃能力そのものだ。しかし「反撃」という言葉は「先にやられてから使う」という印象を国民に植え付ける。これでは抑止にならない。敵は「日本は一発食らっても反撃は限定的」と読むだろう。
そのためには「攻撃されたら即座に、かつ壊滅的に反撃する」という明確な意思と能力が必要だ。
「反撃」という言葉を捨て、堂々と「攻撃力」「先制抑止力」と呼ぶべき時が来た。
3. ウクライナの教訓──核を持たない国への核威嚇は現実
ロシアは核を持たないウクライナに対して、開戦以来30回以上核威嚇を行った。NATOが直接介入しない最大の理由はロシアの核である。核を持たない国は、核保有国から「核の脅し」を受ける──これが2022年以降の冷酷な現実だ。
「核兵器を持たない国は、核保有国に対して完全な抑止を持てない」
──2024年 米戦略軍司令官 アンソニー・コットン大将
NPT体制はすでに崩壊しかかっている。中国は核弾頭数を急増させ、北朝鮮は戦術核を配備、ロシアは核ドクトリンを改定した。日本が「非核三原則」に縛られて目を背けていても、現実は容赦ない。
4. 日本が取るべき道──アメリカの核を「共有」し、責任あるプレーヤーになる
しかし、日本が永遠に「核の傘に守ってもらうだけの国」でいいはずがない。
必要なのは、アメリカと核を「共有」(Nuclear Sharing)し、核運用に日本の意思を介入させることだ。
NATO諸国のように日本に核兵器を配備させ、使うかどうかの決定に日本も責任を持つ。
それこそが真の拡大抑止であり、3度目の核使用を防ぐ最強の抑止になる。
核共有は「日本が核を持つ」ことではない。アメリカの核を日本領に配備し、有事には日米共同で運用する仕組みだ。ドイツ、ベルギー、イタリア、オランダ、トルコは既に実施している。日本だけが「お願いするだけ」の立場でいいのか?
同時に、通常戦力の抜本強化も必要だ。防衛費GDP2%超、長距離攻撃力の即応配備、サイバー・宇宙・電磁波領域の優位確保、住民避難・インフラ防護の法制度整備。これらを同時に進めることで、初めて「核に頼らない最強の総合抑止力」が完成する。
3度目の核使用を許さない強い意志を日本が持つとき
台湾に何か起これば、日本は確実に巻き込まれる。
そのとき、私たちは「アメリカさん、核の傘をよろしくお願いします」と頭を下げるだけでいいのか?
違う。
日本は責任あるプレーヤーとして立ち上がり、
アメリカと肩を並べて核抑止にも参加し、
「日本を攻撃すれば、核を含む壊滅的報復が即座に返ってくる」
という明確なメッセージを世界に発信すべきだ。
それが、核戦争を防ぐ最も現実的な道である。
3度目の核使用をこの地球上で二度と許さない。
その強い意志を、日本が今こそ示すときだ。
あなたの住む街が最前線になる前に。
私たちは、本気で準備を始めなければならない。
国家防衛戦略(2022改定)より。南西諸島の要塞化が明確に示されている












