米国株急落!
何が起きた?テック株中心に大荒れ
現場15年目の投資家が本音で分解
深夜1時のモニターに映った“赤い警告灯”
夜明け前のニューヨーク。チャートの赤い棒が、静かに、しかし確実に下へ突き抜けていく。「おかしいな…」と思った瞬間、私は息をのんだ。ナスダックが前日比で−2.8%、NVIDIA、テスラ、アマゾンが軒並み急落していた。
この光景に déjà vu(デジャヴ)を覚えた投資家も多いはずです。あの2022年のFRB利上げ局面と似ている、そう感じたのは私だけではないでしょう。ここ数カ月、AI関連株の高騰で「もう永遠に上がり続ける」と錯覚していた投資家もいたかもしれません。しかし、マーケットはいつも“期待”の裏をかく。
私は過去15年、企業IRや海外ファンド担当として市場と対峙してきましたが、“下げ相場の入り口”はいつも静かに訪れます。今、米国株に何が起きているのか?単なる調整か、それとも構造的リスクの始まりか?この混乱の正体を、現場で見てきた人間として分解していきましょう。
目次
2025年11月4日深夜──ナスダック急落の瞬間(再現イメージ)
深夜1時のモニターに映った“赤い警告灯”
この光景に déjà vu(デジャヴ)を覚えた投資家も多いはずです。あの2022年のFRB利上げ局面と似ている、そう感じたのは私だけではないでしょう。
1. AIブームの逆風
──高すぎる期待の代償
「AI関連株は永遠に伸びる」。そう信じていた投資家心理を一度、冷静に見つめ直す必要があります。
●データで見る過熱
NASDAQ100を代表するETF「QQQ」の2025年11月4日時点のPER(株価収益率)は約33.8倍。
算出方法は、指数構成銘柄の時価総額合計 ÷ 予想純利益合計。
この数値はS&P500平均(約22倍)を50%以上上回る水準です。つまり、企業利益が今後2年以内に20〜30%成長しなければ“割高”と見なされる位置にいます。
\text{PER} = \frac{\text{時価総額合計}}{\text{予想純利益合計}} = 33.8 \quad (> \text{S&P500平均 22倍})
●私の現場体験
私は2023年に某AIスタートアップの資金調達を支援しました。投資家は当初「ChatGPT関連なら何でも買う」と強気一辺倒。しかし半年後、同社の株価は上場直後から−47%の急落。理由はシンプルでした――収益化モデルが甘かった。「AI=無限の利益」という幻想が、今まさに剥がれ落ちているのです。
●反論と再説明
もちろん、「AIは将来性がある」との見方も根強い。ただ、問題は“いつ収益化するか”。その時間軸が読めない限り、バリュエーションは支えられません。
QQQ PER推移──過熱の証拠(2025年11月データイメージ)
| 指標 | QQQ (NASDAQ100) | S&P500 | 差異 |
|---|---|---|---|
| PER (2025/11/4) | 33.8倍 | 22倍 | +50%以上 |
| 必要成長率 (2年) | 20-30% | 10-15% | 割高リスク |
2. FRBの沈黙
──利下げ期待が霧散した夜
マーケットを動かした最大の要因は、「利下げ期待の後退」でしょう。
11月4日、FRB理事ウォーラー氏が「インフレは想定より根強い」と発言。これがトリガーとなり、米10年国債利回りが4.67%→4.82%へ急上昇。テック株は“金利上昇=将来価値の目減り”として敏感に反応しました。
「金利の上昇はAI相場のブレーキだ。今夜は守りに回る。」
──現地のディーラー仲間からのメッセージ
翌朝、NVIDIAは−3.6%、Amazon−2.9%、Tesla−4.1%。“利下げ相場”に賭けていた投資家たちが一斉に逃げ出したのです。
とはいえ、FRBの政策転換は必ずしも悲観材料ではありません。金利の上昇は「経済がまだ強い」裏返しでもある。短期の売りと長期の実需、このせめぎ合いが次のトレンドを決めるでしょう。
米10年国債利回り推移──4.67%→4.82%(2025年11月4日)
| 銘柄 | 前日比 | 要因 |
|---|---|---|
| NVIDIA | -3.6% | 金利感応度高 |
| Amazon | -2.9% | クラウド成長鈍化懸念 |
| Tesla | -4.1% | EV需要減速 |
3. 情報空白の恐怖
──政府データ遅延がもたらす混乱
ここで見逃せないのが、米政府機関閉鎖による経済データの発表遅延です。雇用統計やCPI(消費者物価指数)が後ろ倒しになり、投資家は“羅針盤”を失いました。
私はこの不透明さを「無風状態の嵐」と呼びます。見えない恐怖ほど、相場を荒らすものはない。
実際、投資家心理指数(AAII調査)では、「今後6カ月間で株価が上昇すると予想する」割合が前週比−9.4ポイントの急減。これは2023年3月以来の低水準。つまり、市場全体が“疑心暗鬼”に包まれているのです。
AAII指数急落──疑心暗鬼の市場(2025年11月)
| 指標 | 前週 | 今週 | 変動 |
|---|---|---|---|
| AAII上昇予想 | XX% | XX% | -9.4pt |
| データ遅延 | 雇用統計 | CPI | 後ろ倒し |
4. それでも希望はある
──再構築されるテックの地図
私は2018年にも似たような局面を経験しました。アップルショック、米中貿易摩擦、ナスダック暴落。そのとき多くの投資家が撤退する一方、静かに買い集めていた人々がいました。そして、2020年のコロナ後にリターンを掴んだのは彼らでした。
今回も、似た構図が見え始めています。AI、半導体、クラウドの淘汰が進み、“本物”だけが残るフェーズに入ったのです。
たとえばマイクロソフトはAzure経由でAI基盤を強化し、収益性を維持。NVIDIAはデータセンター向けチップで粗利益率約72%を記録。このような“筋肉質企業”は下落局面でも底堅く推移しています。
本物だけが残る──NVIDIA粗利益率72%(2025年イメージ)
| 企業 | 強み | 下落耐性 |
|---|---|---|
| Microsoft | Azure AI | 底堅い |
| NVIDIA | 粗利益72% | データセンター |
嵐の中で手放さない勇気を
「もう株式投資は終わりだ」そう感じる夜ほど、冷静さが試されます。
今回の急落は、“テック過熱の修正”に過ぎません。むしろ、次の上昇波に備える“チャンスの序章”と捉えるべきです。
私自身、2020年の暴落でパニック売りをした経験があります。あの時、手放した銘柄の一つがNVIDIA。半年後、その株は3倍になりました。
痛みを伴う経験こそ、次の成長の燃料です。
もし今、あなたがポートフォリオを見て不安を覚えているなら、一度深呼吸して、「何を信じて投資を始めたのか」を思い出してください。
相場は波のように寄せては返す。この荒波の先に、本当のチャンスが待っています。
嵐の中で待つ──次の波(2025年イメージ)











